鳴海丈の世界+3。
- 2006/11/08
- 09:21
先日取り上げた鳴海丈(なるみ・たけし)を今回ちょっと特集してみましょう。この人の作品は、調べれば調べるほどふんどし描写が多いですね。やたらヒロインをボーイッシュな男装少女にする趣味にも凄く共感できますが、長いキャリアのわりに大ブレイク作がないのがつくづく惜しまれます。ここらでビシッとふんどし少女の大活躍するシリーズをお願いしたい。
「炎四郎外道剣」シリーズの男装のヒロイン・伊志原薫(いしはら・かおる)は池波作品に倣って短い腰巻をつけており、本文中にふんどし描写はありません。しかしこの桃園文庫版の表紙イラストを見てください! さらし&ふんどし姿も艶やかな、まさに理想の女剣士です! これは実写で見たい! 光文社時代小説文庫版の笠井あゆみ描くイラストも美しいですが、このりりしい眼差しは最高です。イラスト担当の村山潤一はどうやらフンドシストらしく、他の鳴海作品でもふんどしを何点も描いています。
「叛四郎降魔剣」も表紙イラストがこれまた最高! 村山潤一が本領を発揮して本文には描写の出てこないくノ一のもっこ褌を描いています。
「処刑人・魔狼次」(ころしにん・まろうじ)シリーズの続編にもふんどしを再び発見。黒い革の下帯を食い込ませてムチを振るう女調教師・紫摩(しま)が登場します。村山潤一の表紙イラストもよくみるとふんどしらしきものが…。
タイトル通り「南総里見八犬伝」を下敷きにした「乱華八犬伝」・地の巻にはふんどし海女・菜々が登場! 八月薫の描くイラストが実に色っぽく、これまた素晴らしい出来です。これは本文にもはっきりと描写があり、彼女は「素腰」(すこし)というサイジによく似たふんどしを締めています。筆者は不勉強のためか、この名称は初耳でした。
鳴海丈はマンガ原作も多く手がけています。中でも井荻寿一と組んで週刊少年チャンピオンに連載した時代アクション「伝奇活人剣」では、ふんどしくノ一が大量に登場します! この第2巻では伊賀・銀牙組のくノ一達が入浴している時に敵に襲われ、急いでふんどしを締めて反撃するシーンが白眉! 敵に押し倒されてふんどしの横褌を切られる描写もあります。
第3巻の見どころは逃げた敵を追う銀牙組のくノ一2人が大型十字手裏剣に切り裂かれて絶命するシーン。身体だけでなく、しっかりとふんどしの横褌も切り落とされているディティールの細かさに感動!
そして海女といえば、実は忘れちゃいけないのがイアン・フレミングの「007」シリーズ。この「二度死ぬ」では、F.マライー二による石川県舳倉島の取材記を参考にしたとおぼしき海女描写の中には、ふんどしらしきものの記述があるのです。
「前につけた黒木綿の三角の布をとめる黒い紐がくいこんだあと」
…って、これはどう見てもサイジのことでしょう! ヒロインのキッシー鈴木が一緒に海に潜る時にふんどし一丁じゃないのでボンドが不満をもらしたりするシーンがおかしいです。
映画化された時にはふんどし海女など出てきませんでしたが、企画当初は舳倉島にロケ協力を依頼したという逸話もあります。
鈴木央の「トランスプリンセス?」は、おなじみ二次元ドリームノベルズの性転換ネタのエロファンタジー物。
あまりふんどしフェチらしい描写はありませんが、登場人物の女騎士の下着として「フンドシ」という表記が数回出てきます。多分、普通のふんどしではなくファンタジー物特有の前垂れのついた下穿きを指しているのだと思うのですが…。
最後はオマケにライトノベルズ系を1冊。佐藤ケイの「天国に涙はいらない」シリーズ第9巻、「ふんどし汁繁盛記」です。シリーズに登場する脇役達をメインに活躍させた短編集になっています。
売れない料亭「男気屋」を切り盛りする料理人の少女を菜間尺八郎親娘が助ける感動的な表題作を収録。さがのあおいの描くふんどし少女のイラストも1点あり。