ふんどし資料×6点。
- 2006/08/27
- 04:36
最近、良質なふんどし関係の資料をまとめて入手したので(1点例外あり)ご紹介したいと思います。
まず最初は、おなじみ濡木痴夢男による伝説の雑誌「奇譚クラブ」の解説本です。同文庫からの解説本も既に3冊目。今回はさらにディープに「奇譚クラブ」の全盛期ばかりでなく末期の号を1冊取り上げて解説したり、著者と須磨利之が編集していた雑誌「裏窓」にまつわる様々な逸話など、大変に読み応えがありました。
何より素晴らしいのは「フンドシを締める女たち」と題した一章があること。まるまる19Pを割いてふんどしフェチについて解説しています。女相撲(女斗美)だけに限定せず、ふんどしフェチ全般を解説している点がいいですね。ふんどし好きで「奇譚クラブ」に興味がある、という方には入門編に最適でしょう。
2番目の「みずおび閑話」も非常に面白い本です。日本古来の水泳ユニフォームとしてのふんどしの話に始まり、祭りにおけるふんどしの持つ呪術性の考察、「古事記」「日本書紀」といった古典に登場するふんどしの記述の検証など、実に興味深い考察と逸話のつまった1冊。これはふんどし研究の古典になるでしょう。
特にカナダ人女性に「もし私がプールでふんどしを締めて泳いだらどうなるか?」という質問をされて著者が絶句するくだりは最高でした! 4種類もの六尺褌の締め方が図説されているのも大変参考になります。
そして次はネットで話題のトンデモ本。こまかい突っ込みどころは他のサイトを見ていただいて、いい歳をした著者がよくこれだけ根も葉もないことを書けるな、ということに逆に感心してしまいます。本当に日韓友好を願うなら、こういうくだらない本は出さないほうがいいんじゃないでしょうか?
しかも凄いのは「SOD的夏祭り!!」や博多祇園山笠の少女画像をわざわざ7Pも模写して「ふんどしはセックスに都合のいい下品な服」だと断定している点。ごく一部の例を針小棒大に書き立てて日本の歴史ある伝統衣装をバカにするとはけしからんですね。
「人魚たちのいた時代」もオススメです。著者の大崎映晋はカンヌ映画祭でも評価された海女のドキュメンタリーをはじめ、数々の映画制作に関わってきた海中撮影のプロ。民俗学的視点よりも著者の海への熱い思いが伝わってくる好著でした。さいじ姿の海女に感じたセクシーな魅力も正直に語っていて好感が持てます。特に舳倉島の海女を捉えた美しい水中写真がカラー口絵で何点もついていて、実に魅力的!
これを出した成山堂は海洋関係の書籍を多く扱っているようです。昭和37年に出た名作写真集「日本の海女」も是非復刻してもらいたいものです。
そして「日本の海女」と並び賞される海女研究の聖典が、この「海女の島」です。2004年に亡くなったイタリア人の民俗学者F.マライーニが昭和20年代に舳倉島を訪れた時の記録。写真も数点掲載されています。海外で出版され昭和39年に日本版が出た本ですが、最近になって再販されたので、入手しやすい今のうちにどうぞ!
最後は「聞き書き 着物と日本人」。仕事着としての着物に焦点を当てた貴重なインタビュー集。着物と日本人の密接な関係がよくわかりますね。こういう美しい日本の伝統は子孫に伝えていかないといけませんね。量は少ないものの、「海女の島」にも写真が掲載されていた舳倉島の海女・木村ツキさんのインタビューが読めます。