こうして伝説は作られる?
- 2006/05/03
- 00:06
最近入手したDVD×2作品です。まずは、遂にDVD化されたにっかつロマンポルノの海女シリーズの一作、「くいこみ海女乱れ貝」。渡辺良子主演の1982年度作品です。監督は前年「色情海女ふんどし祭り」(DVD化熱望!)も手がけた藤浦敦。
既に「主演の渡辺嬢のふんどし姿はパッケージだけ!」という情報が寄せられていたので入手がしばしためらわれましたが、今回思い切って手に入れてみました。そして気になる本編を確認してみれば、シーン自体は短いものの、ちゃんとふんどしは登場していました。ああよかった! ふんどしの神は我を見捨てず、といったところでしょうか。
ご覧のように冒頭や予告編で見られる仲間の海女たちが集まるシーンで六尺を締めている人が約2名。色は黄と紺です。見ればけっこうラフな締め方ですね。しかし、にっかつの他作品に登場するような撮影用の「越中風パンツ」に較べれば大分マシです。それに海女という仕事で日常的に締めるのなら、あまりに幅が細すぎたり食い込みすぎたりしたら苦しいでしょう。このくらいの方がリアルさがあっていい、ということで大目にみたいと思います。
そして鬼才・石井輝夫監督の問題作「徳川女系図」(1968)。言うなれば大奥版「カリギュラ」みたいな作品です。御影京子、三原葉子、應蘭芳といった豪華絢爛な女優陣の競演や、さすが鬼才というべき毒々しい演出のパワーは強烈で、大ヒットもうなずける出来です。
ハイライトはなんといっても公開当時から話題を呼び、駆け出し時代の谷ナオミも参加していたという女相撲大会のシーン。数十人のふんどし姿の女優達が登場、紅白に分かれて勝ち抜き戦を行う様子は「圧巻」の一言です。よく見るとふんどしの下に赤パンや白パンをはいている女優がいたりして、ちょっと「萎え~」なのが玉にキズ。
そして今回、さらに衝撃的な発見をしてしまいました! その相撲大会で5人抜きを達成、将軍・綱吉(吉田輝雄)の寵愛を得るおさよを演じる賀川雪絵は、ふんどしを締めてないじゃありませんか!!! 女相撲に出た女性は皆ふんどしを締めているのですが、彼女だけ飛び入り参加なので腰巻一枚なのです!!!
当時の記事(上図参照)を見てもおわかりのように、当初から既に彼女は「フンドシ女優」と呼ばれていました。だから筆者もそれを信じてふんどし姿を楽しみに見たのですが、実は腰巻で相撲をとっていた…というのは大変な驚きでした。また正直、ちょっとがっかりでした。彼女のふんどし姿が是非見たかった!!! それにしても一体何故???
理由を推察するに、映画にはふんどし女が大挙登場しますし、彼女はその女相撲大会で優勝してますし、イメージ的には間違いとも言い切れない部分はあるでしょう。またこの「相撲大会には出たがふんどしは締めてない」という微妙なシチュを映画を見てない人にいちいち説明するのも面倒くさい。それに誰がつけたか「フンドシ女優」というキャッチフレーズは大変強烈です。それが一人歩きして、いつのまにかそういうことにされてしまったのではないでしょうか?
そういえば宮沢りえのふんどしに関する話も、今回の賀川雪絵と同じように事実とは異なるものとして流布しています。彼女のふんどしショットは1990年カレンダー(89年発売)で発表されたのに、
「写真集「Santa Fe」(1991年発表)でふんどしを締めた」
「ふんどしショットを撮影したのは篠山紀信である」
…という誤った記述をよく見かけるのです。多分カレンダーの後で出た衝撃的ヌード写真集の印象があまりにも強烈なので、記述した人の記憶が混同してしまったのでしょう。伝説というものは、こうやって色々な人々の誇張や事実誤認をも飲み込んで大きく形作られていくものかもしれません…。