ふんどしのルーツを探る。
- 2005/11/30
- 07:30
下着をテーマに、誰しもが避けて通れない下半身にまつわる恥ずかしくも面白い話が盛り沢山です。特に前半のくだりが興味深く
「ロシアでは生理用品が市販されていなかった!」
「ロシアの人はトイレでお尻を拭かなかった!」
「毎日パンツをはきかえる日本人は世界では少数派」
「ヨーロッパの女性は下着はあまり取り替えないが毎日ビデで洗う」
などなど、ハッとさせられる話が多いです。たしかに衛生上はパンツをはきかえるよりビデで洗う方がはるかに利にかなっています。なるほど日本人はこういうところでも「物事の本質にはタッチせず、外側だけ取り替えて問題を解決した気になる」のだろうか、なんていろいろ深く考えさせられました。
しかし後半、日本の下着であるふんどしに視点を移すと、それが作者の想像以上に深い広がりを持つテーマであったためか、どうも歯切れが悪くなってしまいます。ふんどしに対する男達の思いやふんどしのルーツを探る旅はかなり面白いのですが、いかんせん詰めが甘いというか、他の識者の見解の抜書きで展開するばかりで読者をあっと言わせるような作者自身の鋭い考察が少ないのです。まるで大学生のレポートのようです。その点に関しては作者本人が後書きでも書いているので、事情はわかりますが…。
それでも全体に面白い本であることに変わりはないので、ふんどしや下着を真面目に考えたい方に、当美術館も推薦させていただきます。