海女特集。
- 2008/02/10
- 21:32
エラブの海 監督・脚本:西尾善介 製作:日本映画新社 1960年公開
なんと今回、凄い映画がDVD化されました! 日本最南端(当時)のエラブ群島を舞台に舳倉島の海女さん2人が活躍するセミドキュメンタリーです! 百聞は一見にしかず、まずは画面をご覧ください。
当時、世界初だったというシネマスコープ水中カラー撮影ですから、画質も非常にきれいです。登場する海女さん2人はなかなかの美女ですし、真珠は獲るわ魚は獲るわサメと戦うわ、八面六臂の大活躍。とにかくさいじ姿の海女さんの潜水シーンが約20分も収録されているというだけで貴重きわまりない作品です! 海女ファンの方はマストアイテムですよ。
惜しむらくはこの作品、全体にロングショットが多いので、さいじの細かいディティールがあまり映ってないことでしょうか。これはシネマスコープの画面の広さを生かすためなので仕方ないんですけど…。
比較参考のために、1954年に撮影された舳倉島の記録フィルムが流用された「Violated Paradise」(1963) の画像も一緒にアップしてみました。
こちらは画面も狭くて画質も今ひとつで時間も短いのですが、何より海女さん達にカメラが肉薄しているのでディティールがよくわかりますし、演技ではなく実際の漁の様子が捉えられているのがナイスです。しかもなんとなくカメラがアップ中心でエロ視点なんですよね。やはりどちらも甲乙つけがたいなぁ…。ふんどし海女最高。
愛・水族館-柏木ハルコ短編集 小学館
ちなみに海女といえば、この短編集には「海女唄」という作品が収録されております。これは普段小学館をホームグラウンドにする彼女が珍しく「漫画ゴラク」に2003年に発表した前後編。明らかに舳倉島の写真を見て描いたとおぼしきカットが多数出てくるのです! これも要チェックですよ。
この作品、柏木作品にしては独特のエグみが少ないので、案外海女萌えの編集者がさいじ姿を描いてほしくて企画を持ち込んだのかな? …なんて筆者的には想像しております。
人魚たちのいた時代-失われゆく海女文化 大崎映晋 成山堂書店
今回は海女特集ということで、以前の記事でも取り上げたアイテムも再録しておきましょう。
大崎氏はカンヌ映画祭でも評価された海女のドキュメンタリーをはじめ、数々の映画制作に関わってきた海中撮影のプロ。民俗学的視点よりも著者の海への熱い思いが伝わってくる好著でした。さいじ姿の海女に感じたセクシーな魅力も正直に語っていて好感が持てますね。特に舳倉島の海女を捉えた美しい水中写真がカラー口絵で何点もついていて、実に魅力的!
これを出した成山堂書店は海洋関係の書籍を多く扱っているようです。昭和37年に出た名作写真集「日本の海女」も是非復刻してもらいたいものです。皆さんリクエストしませう。
海女の島-舳倉島 F.マライーニ 未来社
イタリアの民俗学者F.マライー二(1914~2004)が昭和20年代に舳倉島を訪れた時の記録をまとめたもの。これも大変貴重な記録です。写真も数点掲載されています。海外で出版され昭和39年に日本版が出た本ですが、最近になって再販されたので入手しやすい今のうちにどうぞ!
聞き書き 着物と日本人―つくる技、着る技 原田紀子 平凡社
仕事着としての着物に焦点を当てた貴重なインタビュー集。「海女の島」にも写真が掲載されていた舳倉島の海女・木村ツキさんのインタビューが読めます。さいじのことを語っていますよ。